2022年1月28日金曜日

お箏の譜面というものは

コロナの感染者が激増しているので、気分は沈みがちですが、海外の感染グラフを見ると3週間くらいで山の頂点がきてるみたいなので、日本はもう少し長くなりそうかなと思ったりして、専門家でもあるまいし。それでもあと1週間くらいで感染者も減っていくのではないか?それにこれが最後の大流行でありますように、と願うのであります。

さて、本日はお箏の譜面についてです。


「千鳥」の譜面

お箏の譜面を見ると、漢数字が並んでます。お箏は13本の絃があり、座って奥から順に「一、二、三、四、……十三」まで番号がついています。なお、十一は「斗」十二は「為」十三は「巾」で表しそれぞれ「と、い、きん」と呼びます。これは元々お箏には絃名があり、たとえば一も「仁」という名があり、13本すべて書くと「仁智礼儀信文武斐蘭商斗為巾」という、里見八犬伝みたいになります。ややこしいので漢数字に変わっていったのでしょうか。
というわけで「五」と書いてあったら向こうから五番目の絃を弾きます。

そしてこのお箏の譜面のまずいところだと思うのですが、4拍ごとに小節線のように区切りの横線が入っているのですが、これはまったく4分の4拍子ではないし、あたかも1拍めのようにみえるものがメロディやセンテンスの出だしではないという点です。
それはお箏は口伝えで学ぶもので本格的に譜面が作られ始めたのは明治時代以降。西洋の五線譜にならって作られたものだからだと思われます。
というわけでメロディを表しているのは漢数字の横にカタカナで小さく書いてある「シャーントトン」とか「トンカーラテン」などなどの「唱歌(しょうが)」です。
五線譜の感覚で1拍目を強く、なんて思うと旋律がちんぷんかんぷんになります。

さらに「歌」があります。お箏の演奏会に来てくれた方から「お箏って歌いながら弾くんだ」と驚かれることがあり苦笑するのですが、歌のない「六段」がむしろ異質で古典はみんな歌いながら弾くものです。歌いつつ弾く。これは難しいです。しかも筝曲では言葉の母音だけを節をつけて延々と歌うことが多いので聴いてる方は意味がわからない。たとえば「君が」は「いいいいいいいいああああ」のようになります。歌ってる方もわからなくなってくる。

しかし、一番困るのは譜面が絶対ではないことです。師匠に習っていると「譜面にはそう書いてあるけど違うから。こう直して」ということがままあります。
これは筝曲が盲人音楽として発展してきたので、習って覚えるもので譜面はメモに過ぎないという歴史があることと、流派によって手が違うことによるのだろう、と思いながらお箏の譜面を理解したいと思うのでした。



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